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放射線の不安 母の葛藤深く 福島のアンケート届く 広島

 福島市内で子どもと暮らす母親が放射線への不安をつづったアンケート結果が、同市から広島市中区に避難中の40代母親の元に届いた。福島第1原発周辺から約60キロ離れた地域にも苦悩があることを知ってほしいと、福島市に住む菊地真弓さん(34)が託した。

 アンケートは、原発事故から8カ月たった時点の不安と、行政への要望を無記名の自由記述で尋ねた。菊地さんが約60人に手渡し、半数の回答があった。

 「子どもが外遊びをしたいと涙で訴えたが、親は不安」「県産食材の給食は安全と言われても食べさせたくない」…。食べ物による内部被曝(ひばく)や低線量被曝が続くことへの不安が浮かぶ。子どもの体力、感受性への影響を心配する声が多く、福島市に住み続ける迷いもみられた。

 行政へは、通学路や家庭の早期除染を求める声が際立つ。「自主避難だけでなく、苦渋の決断で残る人にも十分な補償を」との訴えもあった。

 結果は今後、国や県への要望活動に使うという。3人の子どもを持つ40代母親も、広島市内での報告を検討している。菊地さんは「避難したくてもできず、不安さえ言葉に出しにくい地域の母親の思いに耳を傾けてほしい」と話している。(衣川圭)

(2011年12月30日朝刊掲載)

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