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真珠湾攻撃に参加 岩国の金丸さん 首相訪問「不戦の誓い」注目

 岩国市今津町の金丸彦吉さん(97)は、1941年12月の旧日本軍の米ハワイ・真珠湾攻撃に、空母「瑞鶴」の乗組員として加わった。安倍晋三首相が犠牲者を慰霊するため現地を訪れるのを前に、「戦争は絶対やってはいけない。戦後日本の平和が続くきっかけになれば」と期待を寄せる。(松本恭治)

 金丸さんは志願して海軍に入り、配属された瑞鶴で航空機の整備などを担当。真珠湾攻撃の際は目的地や寄港地も知らないまま、洋上を進む艦内にいた。上官から計画を聞かされたのは攻撃直前。甲板で発進準備が整った艦載機の車輪止めを外す作業を無我夢中で繰り返し、次々と飛び立つ機影を見送った。

 「当時の米国は敵だったが、戦争しないのが一番良かった。こっちから突っ込んだわけだから…」。約2400人の米国人が死亡した奇襲攻撃に関わった苦い体験は、家族にもほとんど語ってこなかった。米海兵隊岩国基地と向き合う戦後の生活には「基地はない方がいいが、しょうがない」とだけ語る。

 安倍首相は日本時間の27、28日、真珠湾攻撃の戦跡などをオバマ大統領たちと巡り、所感を表明する。金丸さんは首相の訪問を評価した上で「戦争は双方にとって得にならない。みんな仲良くするのが何より大事」と強調。安倍首相が発信する「不戦の誓い」に注目する。

(2016年12月27日朝刊掲載)

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