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坪井さんの半生知って 盈進中高生 冊子作製 資料館に寄贈

 福山市の盈進中高ヒューマンライツ部(25人)が、県被団協理事長の坪井直さん(92)から被爆体験やその後の人生を聞き取り、冊子にまとめた。本人の言葉で半生を伝える貴重な資料。21日、原爆資料館(広島市中区)に贈り、来館者に閲覧してもらう。

 「にんげん坪井直」と題した冊子はA4判30ページ。爆心地から約1キロで被爆し何度も死を覚悟したこと、中学教諭時代に「ピカドン先生」と名乗ったこと…。写真やイラスト付きで生々しく記す。

 同部は、おととしに日本被団協が催したイベントで坪井さんと知り合った。坪井さんの人生をまとめた本がないことを知り、昨年初めに冊子の作製を持ち掛けた。同3月に2日にわたる計5時間の取材をした後、半年かけて約5万字の原稿に起こし、3分の1程度まで編集して今年11月に完成させた。

 坪井さんは当初、結婚差別で心中を図ったくだりを掲載しないよう希望。2年の高橋悠太部長(17)が「核兵器の非人道性を強調したい」と手紙で訴えて了解を得たという。

 この日、高橋部長たち5人が同館で加藤秀一副館長(56)に冊子7部を手渡した。高橋部長は「被爆者の『顔』である坪井さんを等身大の人間と感じられた。坪井さんにしか語れない経験を活字に残せてほっとした」と話している。同部は今後、冊子を県内の公共図書館に配布。英語版の作製も進める。(城戸良彰)

(2017年12月22日朝刊掲載)

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