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「建物ない景観が基本」 慰霊碑・原爆ドーム結ぶエリア 広島市審議会の部会 了承

 広島市は21日、平和記念公園(中区)にある世界遺産の原爆ドームと原爆慰霊碑を結ぶ南北軸線の眺望景観について調査、検討する市景観審議会の部会(5人)を原爆資料館東館で開いた。ドームの背景にあらゆる建物が見えない眺めを「目指すべき姿の基本」として提案。おおむね了承された。

 市は、原爆資料館本館下から北側を眺めた景観をシミュレーション。注視した際の左右の視野角を約18度とし、ドームの背景として大切にしたいエリアを設定した。委員が検討しやすいように5種類の合成写真を用意。今の建物を減らしたり、約1キロ離れた場所に高さ100メートルの建物ができたりした写真をそろえた。

 部会には委員4人が出席。現地で合成写真と現況を見比べるなどした後、市の案に賛同した。ただ、委員からは「実際に歩くと、園内の樹木が景観に与える影響が大きい。植栽計画も同時に進めると効果的」などの注文もあった。

 部会長の森保洋之・広島工業大名誉教授(都市計画)は「市民にとっていいものにしないといけない。こうありたいという姿を鏡にして一歩一歩近づけていくのが大事だ」と話した。

 市は、今後、市民や来訪者にドームの背景についてアンケートをして、景観の在り方を検討する基礎資料にする。部会は本年度内にあと1度開き、目指すべき姿の実現に向けた課題の整理や建物の高さ規制の在り方などを考える。(渡辺裕明)

(2017年12月22日朝刊掲載)

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