×

ニュース

友と平和追求 峠三吉の青春 広島では30年ぶり名作「河」再演

 原爆詩人の峠三吉(1917~53年)と仲間たちの青春群像を描いた戯曲「河」の公演が23日、広島市西区の横川シネマであった。峠の生誕100年を記念し、広島では約30年ぶりに市民有志が再演。初回は約130人が客席を埋め、反核の声を上げ続けた峠の生き方に見入った。(石井雄一)

 「河」は、没後30年となる劇作家土屋清さんが創作し、全4幕で構成。50年の朝鮮戦争を挟み、戦後に芽生えた平和や民主主義が揺らぐ中で、峠や文学サークル「われらの詩(うた)の会」に集まる仲間たちが平和を求め続ける姿を描く。

 同会メンバーで詩「ヒロシマの空」で知られる故林幸子さんの孫中山涼子さん(25)も祖母がモデルの役で出演。第3幕ではその詩を朗読し、会場からはすすり泣きも聞こえた。

 演出を手掛け、峠の妻春子を演じた土屋時子さん(69)は「峠たちの『炎の時代』を精いっぱい生きてみた。観客が受け止めてくれ感激した」と話す。横浜市青葉区の公務員須賀利晃さん(56)は「核の脅威を思うと、過去の作品ではないと感じた。各地で上演されるべきだ」と話していた。

 広島文学資料保全の会を中心に企画。24日も上演がある。チケット完売。

(2017年12月24日朝刊掲載)

年別アーカイブ