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戦時徴用船の被害 生々しく 証言集 再刊

 大戦中、民間から軍に動員され、兵員や物資を運ぶ後方支援に従事した戦時徴用船。船員の犠牲者は6万人を超える。その実態を元船員らが明かす証言集「海なお深く 徴用された船員の悲劇」(全日本海員組合編)が再刊された。

 1985年に海員組合が手記を公募し、42編を翌年に出版した。今回は、のち機関誌の別冊のみに掲載した75編を加え、上下巻にまとめた。中国地方の元船員の証言も多い。1937年開戦の日中戦争への徴用から始まり、とりわけ太平洋戦争下の南方海域などで海のもくずと消えていく民間船の姿を生々しく伝える。

 手記には宇品港(現広島市南区)もひんぱんに登場し、陸軍輸送拠点として戦時徴用に深く関わった歴史も物語る。成山堂書店刊、上下とも2700円。

(2017年12月25日朝刊掲載)

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