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[イワクニ 地域と米軍基地] 基地周辺で騒音増加 艦載機移転1ヵ月 運用活発化

 米空母艦載機の移転が進む米軍岩国基地(岩国市)周辺の騒音測定回数が、今月に入って増加している。25日現在、既に昨年度の月別最多を上回った地点もある。艦載機の主力、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機が岩国基地に到着して28日で1カ月。同機の訓練が始まったのに加え、朝鮮半島情勢の緊迫化などで基地の運用が活発化した影響とみられる。市は監視態勢を強化しつつ「騒音の実態は継続的に調べて評価する必要がある」としている。

 スーパーホーネット2部隊(24機程度)とEA18Gグラウラー電子戦機部隊(6機程度)の計約30機は、11月28日から今月1日にかけて厚木基地(神奈川県)から岩国に移った。8月に始まった移転の第2陣。5日にはC2輸送機1機も移り、来年5月ごろまでに段階的に計61機を移す計画のうち6割の配備が終わった。

 基地南側の尾津町にある市の騒音測定器では、1日から25日までの間、70・0デシベル以上の騒音を513回計測。月別の本年度最多(4月の477回)、昨年度最多(5月の462回)を超えた。最大値は105・8デシベルで、電車が通る時のガード下相当の100・0デシベルを上回った。

 基地北側の川口町では492回。ここも昨年度最多(5月の445回)を上回り、最大値は95・8デシベル。この間、市には計226件の苦情が寄せられた。過去5年間の騒音測定回数の月別最多は尾津町822回(2013年5月)、川口町729回(15年5月)。

 厚木基地周辺の騒音の主因とされたスーパーホーネットは1日から訓練を開始。直後の4~8日には米韓共同訓練「ビジラント・エース」が実施され、岩国基地の海兵隊のステルス戦闘機F35Bなどが参加。訓練期間中、3日連続で滑走路の運用時間(午前6時半~午後11時)外の離着陸が相次いだ。

 基地監視団体リムピースの共同代表を務める田村順玄・岩国市議(72)は「他基地の所属機が飛来するケースも目立つ。移転に伴う施設整備により、岩国は在日米軍のハブ(拠点)基地としての役割が増している」と指摘する。

 市は1日から、基地の運用状況などを把握するため民間人に委嘱している「情報提供協力員」の活動時間を、従来の倍の月60時間にして監視態勢を強化。13日には、緊急時を除き、正月三が日の飛行自粛を基地に申し入れた。

 市基地政策課は「米韓共同訓練もあり、この1カ月の騒音を単純に例年と比較できない。継続的に調査し移転の影響をみていく」としている。(馬上稔子)

(2017年12月27日朝刊掲載)

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