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原爆投下前の胡町伝える 大正期 中国新聞社屋 落成はがきか

 中国新聞社が1926(大正15)年3月、広島市上流川町(現在の中区胡町)に新築した社屋の完成記念に発行したとみられる絵はがき7枚が、東広島市の民家で見つかった。原爆投下で焼失した広島市中心部の街並みを捉えた航空写真などを収めている。

 東広島市の箱田素子さん(76)の自宅の蔵で今夏、見つかった。寺西村(現在の東広島市)の開業医で、篤志家として知られた祖父の児玉良亮さん(43年に85歳で死去)の持ち物。26年11月にあった祝賀式に招かれた児玉さんが受け取ったとみられる。

 はがきには、当時は珍しいコンクリート造りの3階建て洋館の外観や、活字を並べて組む「植字」や「製版」といった当時の新聞製作の様子が分かる写真計13カットが収められている。うち1カットは上空300メートルからの航空写真で、現在は百貨店の広島三越となっている社屋周辺には、瓦ぶきの屋根がひしめく大正期の街並みがうかがえる。

 「新築落成記念 中國新聞社」の文字や社屋平面図が刷られた紙に包まれ、祝賀式の余興プログラムも同封されていた。このほど中国新聞社へ寄贈した箱田さんは「かつての街の様子が分かる資料として、役立ててほしい」と願った。(奥田美奈子)

(2017年12月28日朝刊掲載)

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