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原発政策転換に賛否 山口県上関など 揺れる方針 不信感も

 茂木敏充経済産業相が「2030年代の原発ゼロ」目標の見直しに言及したことで、中国電力の上関原発(山口県上関町)計画の行方は再び流動的となった。新政権による原発政策の転換に、上関町などでは賛否が交錯。揺れ続ける政治判断に不信感も広がった。

 「風向きが変わった。車のギアが、後退からニュートラルに戻った」。上関原発の新設を求める原電推進議員会副会長で、上関町の西哲夫町議(65)は歓迎する。原発の新増設がなければ、国内産業や雇用に影響が及ぶと訴える。

 一方、反対派の住民団体、上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水敏保代表(57)は「福島第1原発事故を経験しながらゼロ方針を見直すのはあり得ない」と批判を強めた。

 9月、民主党政権は原発新設を認めない「ゼロ目標」を示し、枝野幸男前経産相は上関原発建設を認めないと明言。だが、自民党政権により再び白紙に戻った形だ。

 「いつ決まるのか」。上関町の80歳代の無職男性は揺れる方針に不信感を示す。原発の新増設を「政治判断する」と述べる茂木経産相の発言について、「結論が出ないままでは長年の対立もなくならない」と漏らす。

 建設続行が容認された島根原発3号機について、松江市の松浦正敬市長は「稼働ありきではなく安全性が大前提」と強調。島根県の溝口善兵衛知事は「原子力規制委員会の安全チェックなど政府の対応を注視していく」とコメントした。

 中電は「引き続き原発の安全対策を徹底する」としている。(久保田剛、明知隼二、東海右佐衛門直柄)

(2012年12月28日朝刊掲載)

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