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手話で被爆ろう者の苦難 修学旅行生に広島の伝承の会

 ろう者の被爆体験を手話で聞き取り、伝承する活動に取り組む市民グループ「手話で語り継ぐ被爆体験伝承者の会」が12日、修学旅行で広島市中区の原爆資料館を訪れた熊本県立熊本聾(ろう)学校中学部(熊本市)の全生徒17人に被爆ろう者の体験を伝えた。

 同会の山口みゆきさん(57)=廿日市市=が、爆心地から1・3キロの西観音町(現西区)の自宅で被爆し、1月に89歳で亡くなった村田ヨシエさんの体験を手話で語った。村田さんは当時17歳。耳が聞こえない中、被爆直後に逃げ惑った状況や広島に落とされた爆弾が原爆と分かるまで10年以上を費やしたことなどを話した。

 同校1年の諸林摩耶さん(13)は「耳が聞こえない人は情報を得るのが難しいため、状況を把握するだけでも大変だったことが分かった」と話していた。

 同会は2016年に発足。17年に福山市であった全国の手話通訳者たちの集会で村田さんの被爆体験を手話で伝えた。その様子を熊本聾学校が知り、同会に協力を求めた。現在は入市被爆したろう者から聞き取りを進めている。(山下美波)

(2018年12月13日朝刊掲載)

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