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避難者の感謝伝える紙芝居 廿日市の作家福本さん発案・制作 福島で23日公演 受け入れ住民に恩返し

 東日本大震災の福島第1原発事故後、被災地に通う廿日市市の紙芝居作家福本英伸さん(62)が、避難してきた住民と、受け入れ先の住民の気持ちを自作の紙芝居でつなぐ「恩返しプロジェクト」を進めている。23日に福島県会津若松市を訪れ、同県大熊町の避難者による感謝を込めた初公演を見届ける。(石川昌義)

 福本さんは震災があった2011年の暮れからほぼ毎月、福島県に入り、地元の民話や原発事故を題材にした紙芝居約150作を作った。交流する中で避難者と受け入れ先の住民の間に摩擦が生じる現実を目の当たりにし、避難者の感謝の念を紙芝居で伝える「恩返し」を発案した。

 公演を主催するのは「おおくま町物語伝承の会」。全町避難が続く大熊町から、約100キロ離れた会津若松市に避難してきた住民約30人でつくる。

 紙芝居は町の伝承を基に、福島の歴史を見守るてんぐが戊辰戦争、原発の集中的な立地、震災などの歴史を語る筋書き。踊りや楽器演奏を交えた「絵おと芝居」を披露する。広島市佐伯区のしの笛奏者梶川純司さん(67)も出演する。

 「伝承の会」代表で町に約30年間暮らした橘秀人さん(69)=江田島市出身=は「何度も会津に通った福本さんが、今の心情をくみ取った物語に仕上げてくれた」と感謝する。

 福本さんは「心から漏れてくる言葉を丁寧に聞いて作った。ありのままに語ってほしい」と期待する。昨春には、福島県桑折(こおり)町に避難した同県浪江町の住民たちが出演するアニメ「なみえ避難先物語こおり」も完成させた。

(2018年12月17日朝刊掲載)

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