×

ニュース

「雲龍」で犠牲 遺族高齢化 第634海軍航空隊基地隊 最後の慰霊

 太平洋戦争末期に東シナ海で撃沈された旧海軍の空母「雲龍」の航空整備兵部隊の慰霊祭が19日、呉市上長迫町の長迫公園(旧呉海軍墓地)の慰霊碑前であった。慰霊祭は平成に入って始まり、遺族の高齢化などを理由に平成最後となる今回の命日で終了する。

 慰霊祭には県内や静岡県、兵庫県などから遺族たち約60人が出席。遺族を代表して四角澄朗さん(73)=兵庫県豊岡市=が「74年を経てもなお悲しい事実は消すことも、忘れることもできない」と追悼の辞を述べた。出席者は献花、焼香をして碑に手を合わせた。

 雲龍は1944年12月17日に呉を出港。2日後の同19日に東シナ海で米潜水艦に撃沈され、3千人以上の犠牲者が出たとされる。「第634海軍航空隊基地隊」の隊員約400人も含まれていた。

 慰霊碑は遺族たちが声を掛け合い、89年に建立された。同年から慰霊祭を毎年12月19日に碑前で行っていた。遺族の高齢化に伴い、建立から30年の節目となる今回を最後の慰霊祭と決めた。

 遺族会世話人の一人、門野吉秀さん(78)=兵庫県太子町=は「亡くなった遺族の思いも胸に続けてきた。慰霊祭が終わっても平和であり続ける願いは変わらない」と涙ながらに話した。(浜村満大)

(2018年12月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ