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原爆症認定 議論平行線 被団協など要請 厚労相譲らず

 原爆症認定制度の在り方などを巡る日本被団協などと厚生労働相との定期協議が20日、厚労省であった。認定基準の緩和を求めた被爆者側に対し、根本匠厚労相は「基準の見直しは難しい」と譲らず、議論は平行線をたどった。

 被団協や原爆症認定訴訟の全国原告団、全国弁護団連絡会の役員たち計15人が約1時間、根本氏と意見を交わした。全国各地から駆け付けた被爆者、被爆2世たち約90人が傍聴した。

 被爆者側は、積極認定の対象に狭心症などの病気を加え、被爆距離などの条件も緩めるよう訴えた。被団協の木戸季市事務局長(78)は、認定申請を却下された被爆者が国を相手に裁判を起こし、相次ぎ勝訴している現状を指摘。「私たちの要求は判決に沿った当たり前の内容だ。法改正も必要なく、大臣の決断で実行できる」と迫った。

 広島で被爆した山田玲子さん(84)=東京都=たちも自らの被爆体験に触れながら「誠意ある対応を」と求めた。しかし、根本氏は2013年12月に見直した認定基準を重視。「裁判の結果だけで基準や運用を見直すのは困難だ」と繰り返した。

 終了後、被爆者たちは記者会見し、「大臣は回答文書を読み上げただけ。考えが見えなかった」「裁判できない被爆者もいる。悔しい思いを分かっていない」と憤った。被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(86)は要求の実現へ、与野党の国会議員に働き掛けを続ける考えを示した。

 定期協議は集団訴訟の解決に向けて国と被団協が09年に交わした確認書に基づく。1年ぶり7回目。(田中美千子)

(2018年12月21日朝刊掲載)

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