×

ニュース

馬毛島にFCLP施設 防衛相 岩国で実施ない

 米軍岩国基地(岩国市)の空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)を巡り、防衛省は20日、移転候補地の鹿児島県西之表市・馬毛島に恒久訓練施設を兼ねた「自衛隊馬毛島基地」を新設することを明らかにした。既に島の半分以上の土地を取得済みで2020年1月にも現地調査に入る。河野太郎防衛相は記者会見で「完成後は馬毛島以外ではFCLPはない」と述べ、岩国基地で訓練が行われることはないとの見通しを示した=1面関連。(門脇正樹)

 米軍は現在、岩国基地から1400キロ離れた硫黄島(東京都)でFCLPを実施。悪天候などで困難な場合の予備施設として、岩国基地や厚木基地(神奈川県)が指定されている。

 馬毛島は種子島の南西約12キロにある約820ヘクタールの無人島。計画では、新基地には管制塔や格納庫、滑走路を建設し、100人規模の自衛官を配備する。米軍にはFCLPの実施時に限り利用を認め、新基地は原則、自衛隊が戦闘機の展開訓練や輸送機による物資投下訓練などに使うという。

 このほど島の土地の99%を所有する企業との売買契約が一定の合意に達し、同日までに「島の過半数を国有地化した」(防衛省地方協力局)という。年明けから測量やボーリング調査、生態把握に順次取り組む予定で、20年度予算案に関連の調査費として5億3500万円を計上した。着工時期は未定で、地元理解を得るため副大臣らが20日に現地説明に入った。

 FCLPはかつては艦載機の拠点だった厚木基地で行われていたが、騒音の深刻化で1991年以降は厚木から1200キロ離れた硫黄島で暫定的に実施されている。在日米軍の再編で拠点が岩国基地に移り、硫黄島までの距離がさらに遠のいたため日米両政府は11年、岩国から約400キロの馬毛島を新たな訓練地とすることで合意していた。

(2019年12月21日朝刊掲載)

年別アーカイブ