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広島被服支廠「全棟保存して」 署名2700人分 県に提出

 市民団体「旧陸軍被服支廠の保全を願う懇談会」が21日、広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠」の全棟保存を求める2700人分の署名を広島県に出した。「2棟解体、1棟の外観保存」とする県の原案公表後、約1カ月で集めた。署名活動は今後も続ける。

 湯崎英彦知事宛ての署名は、被服支廠について、国所有の1棟を含めて「日本の近現代の記憶を刻む全体の保存策の検討」などを要望する。具体的には、県の安全対策の原案を湯崎知事のリーダーシップで再検討し、建物を文化財として登録するよう促している。

 多賀俊介副代表(70)=西区=たち3人が県庁で、県財産管理課の足立太輝課長に渡した。元原爆資料館館長の原田浩顧問(80)=安佐南区=は「4棟には圧倒的な力があり、現物を見てこそ得られるものがある。保存方法や財源確保に知恵を出してほしい」と訴えた。

 昨年12月中旬に呼び掛けを始めた署名は全国から集まり、既に約3千人に達しているという。今回は大詰めを迎えた県の2020年度当初予算の編成作業をにらみ、一部を先行して提出したという。懇談会は今後も署名を集め、追加提出する。(畑山尚史)

(2020年1月22日朝刊掲載)

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