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全棟保存の道 考える 中区で被服支廠講演会

 被爆建物の旧陸軍被服支廠(ししょう)(広島市南区)の保存・活用方法を考える講演会「赤れんがよみがえれ」が26日、中区であった。昨年末、県に全棟保存を要望した市民団体の広島諸事・地域再生研究所(中区)の石丸紀興代表(79)が講師を務めた。

 4棟がL字形に並ぶ被服支廠。うち3棟を持つ県は2棟解体、1棟の外観保存の原案を示す。石丸代表は1913年に完成した被服支廠について「被爆者の救護所や物流の倉庫に使われ、復興を支えた。全棟保存できれば、被爆の実態がより後世に伝わる」と述べ、建築的な価値が高いと強調した。

 県は1棟の耐震化に33億円かかる、との試算も出している。残る1棟を所有する国も、県の動向を見ながら解体を視野に入れる。石丸代表は「財政難を理由に取り壊すのはもったいない。県や国をはじめ、市も一緒になって、残す方法を模索するべきだ」と訴えた。

 参加した東区の印刷業山根和則さん(68)は「全棟保存した上で、建物内部に入れるようリニューアルしてほしい」と話していた。

 市民団体の広島文学資料保全の会(中区)主催。約90人が聴講した。(東谷和平)

(2020年1月27日朝刊掲載)

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