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松本正行氏が死去94歳 「黒い雨訴訟」副団長

 原爆投下後に降った「黒い雨」を国の援護対象区域外で浴びたとして、区域の拡大や被爆者健康手帳の交付を求めた集団訴訟の原告団副団長、松本正行(まつもと・まさゆき)氏が8日、多臓器不全のため広島県安芸太田町の病院で死去した。94歳。安芸太田町出身。自宅は安芸太田町穴890の2。葬儀は10日に近親者で済ませた。喪主は長男信男(のぶお)氏。

 1945年8月6日、原爆の閃光(せんこう)を爆心地から約20キロの広島県安野村(現安芸太田町)で目撃。広島県加計町(同)の町議だった78年、放射性降下物を含む黒い雨は国が認める範囲よりも広く降ったとして、広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会を発起人の1人として設立した。加計町議を73年の補選初当選から9期、合併で安芸太田町議を09年まで2期、務めた。

 15年11月に始まった集団訴訟では最年長の原告として副団長を担った。周囲に「(訴えが)成就しないと死ねん」とたびたび口にしていたという。

 集団訴訟は広島地裁で7月29日に判決を迎える。原告団長の高野正明さん(81)=広島市佐伯区=は「信念の人で、私たちのリーダーだった。一緒に判決を聞き、喜びたかった」と声を震わせた。

(2020年3月11日朝刊掲載)

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