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胎内被爆者の手記募る 全国連絡会 12月に2冊目出版へ

 母親の胎内で原爆に遭った人たちでつくる「胎内被爆者の会」(原爆胎内被爆者全国連絡会、74人)は19日、被爆75年に合わせて、12月に会として2冊目の手記集を出すと発表した。胎内被爆者の存在をより広く知ってもらうためで、執筆者を広く募っている。

 仮のタイトルは「生まれた時から被爆者」。自らは被爆の記憶がないにもかかわらず、被爆者として生きざるを得なかった胎内被爆者の葛藤を込めた。広島と長崎で被爆した50人分の掲載を目指す。それぞれの家族の記憶や自身が歩んだ半生、次世代に伝えたい思いをつづってもらう。

 原稿の締め切りは7月末で、1人1600~3200字、写真2枚を想定。短歌など多様な表現も歓迎する。A5判約250ページ、千部を印刷予定。刊行費用として執筆者1人当たり1万円の負担を求めるほか、国の補助金の活用を見込む。

 代表世話人の二川一彦さん(73)=東区=たち10人が市役所で記者会見して発表した。二川さんは「被爆者と2世の間で存在が忘れられる危機感がある。それぞれが被爆の事実を背負い、生きてきた歩みを、ぜひ文章に残してほしい」と呼び掛けた。同会事務局☎090(7375)1211。(明知隼二)

胎内被爆者
 母親の胎内で被爆し、広島の場合は1946年5月31日までに生まれた人で、被爆者健康手帳の交付対象となる。妊娠初期に強い放射線を浴びると、知的、身体障害がある「原爆小頭症」になる場合もある。2019年3月末時点で胎内被爆者は6979人、原爆小頭症手当の受給者は18人。

(2020年3月20日朝刊掲載)

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