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日系2世の78歳に戸籍 広島高裁決定 戦後混乱 比で無国籍

 太平洋戦争中の1942年、フィリピンに渡った日本人男性と現地女性の間に生まれ、戦後の混乱で無国籍状態だった残留日系2世のメラニオ・タクミさん(78)が日本国籍を取るため、日本で戸籍を作る「就籍」を認めるよう申し立てた即時抗告審で、広島高裁が許可する決定を出したことが1日までに分かった。

 横溝邦彦裁判長は戦争末期に消息を絶ったタクミさんの父に関し、フィリピン政府が発行した婚姻証明書に国籍が日本と記され、父が当時「タクミ」と名乗り家庭で「トウサン」と呼ばれていたことなどから「日本人であったと認めるのが相当」と認定。両国とも当時の国籍法は子の国籍は父に合わせるとしており「(タクミさんは)出生時に日本国籍を取得したと認められる」と結論付けた。

 タクミさんはミンダナオ島在住。父が身元不明で日本国籍が得られず、無国籍だった。2018年2月に父の出身地とみられる広島で就籍を求めて広島家裁に申し立てたが、19年に却下され即時抗告していた。

 高裁の決定は3月25日付。同31日、「匠(たくみ)メラニオミノル」として広島市内の区役所に就籍届を出した。NPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター(東京)によると、フィリピン在住の残留日系2世は3月末時点で3839人。このうち910人が無国籍という。

(2020年4月2日朝刊掲載)

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