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戦時下 ツイッターがあったら 被爆前後の日常 追体験 NHK広島 日記基に投稿企画

 NHK広島放送局は、75年前に市民3人がつづっていた日記を現在の若い人たちが読み込み、本人になりきって2020年の同じ日にツイッター投稿する被爆75年企画「1945ひろしまタイムライン」に取り組んでいる。時を超えて戦時下を追体験し、番組と連動しながら現代の言葉で発信している。

 中国新聞記者だった故大佐古一郎さん(32)=当時=は、45年元日から年末まで日記を書いた。30年後に本紙に連載し「広島 昭和二十年」(中公新書)としても出版した。

 企画の参加者は広島市出身、あるいは在住の計11人で、うち「一郎」担当は3人。家屋を取り壊す建物疎開に取り組み「そこでの暮らしが消されていく。これが戦争だ」と吐露したことや、報道の自由がないことへの違和感をツイート。「大本営発表」を掲載し、戦争一色だった中国新聞紙面も毎日載せている。

 会社員山根尚子さん(44)は「人々の日常の思いに共感できる部分は多い」と話す。遺族から話を聞きながら、当時の状況について理解を深めている。

 広島高等師範(しはん)学校(現広島大)付属中1年の13歳だった新井俊一郎さん(88)の日記を担当するメンバーも、「シュン」本人にインタビューしたり当時歩いたと思われる道のりをたどったりしている。新井さんは「時代背景を理解した上で日記に込めた思いも感じ取ってほしい」と語る。

 故今井泰子さん(26)=当時=のツイッターは今月18日に始まった。一日一日、3人の日常は広島が壊滅する8月6日の「あの日」へと近づいていく。ツイートは年末まで続ける予定だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月からは監修担当の劇作・演出家柳沼昭徳さん(43)=京都市=を中心にテレビ会議で打ち合わせている。山田香織ディレクター(43)は「地域の人たちと一緒に新しい伝承方法を模索したい」と話している。(新山京子)

(2020年5月25日朝刊掲載)

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