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被服支廠 学生が活用策 広島市立大芸術学部 にぎわい拠点の視点で2案

 広島市立大(安佐南区)芸術学部の学生たちが、市内最大級の被爆建物「旧広島陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の活用策を授業の一環で検討し、若者の視点から新たなにぎわいスポットとして再生する二つのプランにまとめた。建物保存を巡る議論が続く中、アイデアが市民の間で参考になることを期待している。(新山京子)

 デザイン工芸学科で視覚造形を専攻する4年生11人が19日、商業施設としての活用策を2グループに分かれて学内で発表した。

 4棟が連なる敷地全体の活用を重視したグループは、幅広い世代が集う拠点にしようと、石風呂やスパ、プールにバーを備えたリラクセーション施設を提案した。もうひとつのグループは建物の重厚な造りに注目し、映画を観賞しながら食事も楽しめる施設を想定。1階に休憩スペース、2、3階には大型スクリーンやレストランを設けた。

 4月下旬から取り組みを始めた。まず、市内の建築家から軍服などを作ったり被爆者の臨時救護所になったりした被服支廠の歴史について学んだ。新型コロナウイルスの影響で対面授業ができないため、テレビ会議システムを使って作業。被服支廠の現地見学もできていないが、アイデアに沿って建物の内部イメージをCG画像で再現し、パンフレットや施設のロゴなども制作した。

 今回はデザイン性を重視したため、耐震性やコスト面は考慮していないという。指導する納島正弘教授は「若者の感性を、保存・活用を巡る今後の議論に生かしてもらえたら」と語る。田中聡美さん(21)=西区=は「メンバーの多くは被服支廠のことを知らなかったが、歴史を学び、活用策を考える中で関心が高まった。早く現地を見学し、あらためて被爆建物や平和について考えたい」と話していた。

(2020年6月22日朝刊掲載)

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