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広島大発足70年 振り返る写真集 被爆直後や復興期

 広島大(東広島市)は、新制大学として発足した1949年以降の歩みを紹介する写真集「広島大学の70年」を発行した。壊滅した被爆直後の構内や、復興期の学生生活の様子を捉えた158点を収録している。

 「教育」「平和」「変わりゆく学園生活」など、テーマごとに振り返る。53年3月に開かれた1期生の卒業式の写真や、50年に初代学長の森戸辰男氏(1888~1984年)が「自由、創造」などと記した直筆メモを紹介。翌年、海外の大学に宛てて、原爆で壊滅した東千田キャンパスに植える樹木の提供を依頼した書状も載せた。

 広島大は、明治-昭和初期に設立された広島高等師範学校や広島文理科大など複数の前身校を持つ。写真集では、戦前の学生生活や、原爆で約700人の学生と教職員が犠牲になったことに触れるとともに、被爆した東南アジア出身の「南方特別留学生」が納まる写真も公開した。

 1万5700部を発行し、1年生と卒業生に配ったほか、図書館などに提供する。PDF版も広島大文書館のホームページに掲載した。同館の石田雅春准教授は「被爆や大学紛争などの試練を経て積み重ねてきた歴史を多くの人に知ってほしい」と話している。(桑島美帆)

(2020年6月23日朝刊掲載)

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