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タブレット端末で被爆前の街を体験 福山工高 アプリ制作

 福山工業高(福山市野上町)の計算技術研究部が、被爆前の広島市内の街並みを再現したタブレット端末版アプリを完成させた。被爆者の証言から当時の生活音も新しく入れ、戦後は平和記念公園になった街の一部を体験できる。7月に部員が現地を訪ね、来園者にも体験してもらう。

 画面を指でなぞると、元安橋から旧中島本町の一部まで歩くように移動できる。被爆建物レストハウスの前身の大正屋呉服店の内部にも入れる。被爆者の証言を基に、レストハウスの隣にあったラジオ店「クラモト商會(しょうかい)」の前を通ると、戦時中の流行歌「上海だより」が聞こえるなど新たな効果も加えた。

 同部は5年前から、被爆前の広島の街を再現するバーチャルリアリティー(VR)映像の制作を続けている。顧問の長谷川勝志教諭(54)が生徒の作品をアプリ化した。長谷川教諭は「生徒が現地で端末の映像を見比べれば、そこで感じた生活感を作品にさらに生かせるはず」と期待する。

 同部は7月11日に現地を訪れる予定。3年佐藤璃玖(りく)さん(17)は「被爆前から残る建物の前に立ち、道幅の距離感などを確かめてVR作品をより忠実に再現する」と話している。(湯浅梨奈)

(2020年6月30日朝刊掲載)

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