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被爆前の「被服支廠」語る 中区 全棟保存求め 市民団体催し

 広島市最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の全棟保存を求める市民グループ「被服支廠を未来に活(い)かす会」が19日、建物と戦争の歴史について考える催しを中区で開いた。2月の発足後、第1弾の活動となる。会の存在を広く知ってもらおうと企画した。

 54人が参加。近くに住んでいた被爆者の切明千枝子さん(90)=安佐南区=が「中に幼稚園や食堂、風呂もあり、至れり尽くせりだった」と原爆投下前の様子を語った。被爆時に自宅で祖母が頭を負傷し、被服支廠で手当を受けた体験も話した。基町高3年牟田悠一郎さん(17)=東区=は「市民の生活の場の一つだったことが伝わり、あらためて保存が必要と感じた」と受け止めていた。

 県は所有する3棟について「2棟解体、1棟の外観保存」を掲げており、同会は今後、建物の活用方法を研究し、県に提言する。建物を活用する資金を募るため、建物を200分の1で再現した木製の募金箱も披露した。(筒井晴信)

(2020年7月20日朝刊掲載)

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