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被爆者の記憶 油絵に 基町高生 広島市中区で来月展示

 広島市中区の基町高創造表現コースの生徒15人が制作してきた、被爆者の証言を基に描く「原爆の絵」15点が完成した。広島国際会議場(中区)で8月5日から、今回の15点を含む約40点を展示する。

 爆風で天守閣が崩れ去った広島城、がれきの山となった父親の職場前で手を合わせる母親の姿…。生徒は証言者である被爆者6人の記憶を油絵で表した。

 昨年10月に制作を始めたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校期間中は被爆者と対面できない日が続いた。生徒はキャンバスを家に持ち帰り、電話で話を聞いたり、制作中の作品の写真を見てもらったりしながら仕上げたという。

 3年福田葉月さん(17)は、被爆当時8歳だった八幡照子さん(82)=府中町=が見た、子どもの遺体を焼きに行く男性の後ろ姿を描いた。「八幡さんの心情などを聞けたからこそ完成させられた。資料だけでは描けなかった」と振り返る。

 基町高であった完成披露会で作品を見た八幡さんは「絵にしてもらい、初めてこんなに悲しい背中だったと気づいた」と語った。

 基町高は2007年度から「原爆の絵」を創作している。(寺本菜摘)

(2020年7月22日朝刊掲載)

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