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「被服支廠 4棟保存は無理」 自民議連・寺田氏 1棟解体 駐車場検討を

 自民党の「被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟」の代表世話人を務める寺田稔氏(広島5区)が27日までに中国新聞の取材に応じ、広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)について「全4棟を保存するべきだとは考えない」との認識を示した。31日、広島県庁に湯崎英彦知事を訪ね、この方針を伝える。

 議連は6月、県所有の3棟を保存し、原爆の悲惨さを伝える写真の展示などに活用する案をまとめた。寺田氏はこの場合、「来場者向けの駐車場が必要になる。全4棟を残すことは現実的に無理だと思う」と話した。残る国所有の1棟を解体し、跡地を駐車場に整備するよう検討を要請するという。

 県所有3棟の保存方法に関し、少なくとも1棟は約30億円を投じて耐震化工事を施し、内部を最大限利用するべきだと強調。他の2棟は地元の意見も聞きながら「耐震化工事をするか、外壁だけの保存にして金額を抑えるかを判断すればいい」との見解を示した。

 財源は「国と県による公費が計30億円」と説明。文化財に指定されれば、国が保存のための費用の50%を負担する補助事業を活用できるという。また民間からの資金集めの窓口として特定目的会社(SPC)の設立を例示。クラウドファンディングや金融機関からの借り入れによって資金は確保でき、「3棟保存は十分可能だ」と述べた。

 安倍晋三首相が8月6日の平和記念式典に合わせて、被服支廠を視察する意向であることについては「非常に意義がある。首相に建物の価値や重要性を直接肌身で感じてもらえれば」と期待した。(河野揚)

(2020年7月28日朝刊掲載)

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