鎮魂の炎 川面に/広島市元安川で灯ろう流し

'99/8/7

 広島市中区の元安川で六日夕、恒例の灯ろう流しがあった。色と りどりの柔らかな光が川面にあふれ、原爆ドーム前を彩った。「私 たちが平和を守ります」。実行委員会の呼び掛けに応え、平和メッ セージを記した灯ろうも数多く見受けられた。

 午後六時、時折小雨が降るなか、親水護岸から市民たちが灯ろう を流し始めた。川面にそっと手を合わせていた中区西白島町、無職 亀高良雄さん(76)は原爆で両親ら五人の家族を失った。「供養と核 廃絶の思いを込めて四十年間流し続けてきた。若い人には、過ちを 繰り返してほしくない」と希望を託す。

 灯ろう流しには、今年から市民ボランティアも参加した。十六歳 から六十三歳までの学生や主婦七十二人が船から灯ろうを流すのを 手伝った。安芸区船越四丁目、会社員佐藤秀親さん(29)は「灯ろう を流して手を合わせる姿に、遺族の悲しみの深さを感じた」と話し ていた。

【写真説明】灯ろうに手を合わせて祈る子ども連れ。平和を願う絵やメッセージが川面に揺れた(6日午後7時25分、広島市中区の元安川)


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