中国新聞

モニュメントのつぶやき
母子像
ほおを寄せ合う母と子の像。平和への願いがこもる
母子愛之像




住民の記憶 後世に

 母と子が、ほおを寄せ合う。顔の下には、子を包み込む母親の手。「聖母マリア様のようでしょう」。広島市中区江波南2丁目の山科トシさん(79)の脳裏には、母親の表情が焼き付いている。2年前に亡くなった夫の美里さんは、江波地区社会福祉協議会会長として慰霊碑建立を推進した。
 「母子愛之像」は、1995年に江波山公園に建立された。あの夏、本川の流れに運ばれた死者が、市南部の江波地区に流れ着き、山すそでだびに付された。「地区住民の原爆の記憶を後世に伝えなければと、ずっと気になっとったんでしょう。山科さんはこれがで母子像地図きてホッとしておられた」。補佐役だった沖七郎さん(77)が、4年前の除幕式に思いをはせる。
 碑のデザインを選ぶ時、トシさんが母子像を推した。「私の親も、被爆でやけどを負って死んだ。命がけで子供をかばう親のまなざしから、生命の尊さを感じ取ってほしい」。公園は、地域の人の散歩コース。母子像に見守られ、犬を連れた子らが駆けていく。
 



広島市中区江波二本松2丁目 [高さ4メートル、幅1.6メートル]

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