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復興への希望だったカープ草創期を再現した紙芝居の上演会
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広島東洋カープの草創期を描いた紙芝居が誕生した。3月下旬に完成する新広島市民球場(南区)の近くで活動している、2つの市民グループが企画。多くの人たちに愛されてきた「市民球団」の歴史を球場移転後も語り継ごう、との思いを込めた。
「日本唯一の市民球団・カープを救った男 石本秀一物語」と題し、選手集めやチームづくりに奔走した初代監督に焦点を当てた。被爆直後の街の惨状からストーリーは始まり、球団創立に託された市民の復興への願いを、柔らかいタッチのイラストでA1判の計30枚にまとめた。
資金不足による球団存続の危機では、石本監督らが市民に支援を要請し、多くのファンが「たる募金」で支える姿を描写。あふれる臨場感とともに当時の光景が伝わってくる。
新球場に近いJR広島駅前の愛友市場で、イベント企画を手掛ける「プロジェクトC」と、二葉公民館(東区)を拠点にする「カープかたりべプロジェクト」が合作した。
大みそかには、市場内にイベントスペース「新球場ようこそ劇場」を開設。約30人を前に紙芝居を初披露した。鑑賞した南区西蟹屋の森本武治さん(72)は「ファンが支えた球団の歴史が若い世代に広まれば、新球場での応援も盛り上がる」と期待を寄せていた。紙芝居は10日午前11時からのイベントでアンコール上演のほか、今後は小学校など地域への「出前」にも応じる。(畑山尚史)
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