広島県警と広島市は、新広島市民球場(南区)に近いJR線の愛宕踏切を、広島東洋カープの試合の前後各1時間、車両通行禁止とする方向で最終調整している。球場と広島駅を結ぶ市道を歩行者専用とする時間帯に合わせた措置だが、地元には容認と不満が入り交じっている。
市の試算によると、新球場の最大観客数3万3000人のうち、広島駅から徒歩での来場者は約2万5000人。年約65日の試合の前後は、最短コースの市道(約600メートル)を中心に、東西方向で人の波が途切れない状況が予想され、市などは「安全上の問題から南北をつなぐ踏切の規制が必要」と判断した。
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カープの試合の前後に車両通行禁止にする方向で最終調整が進む愛宕踏切
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市と広島東洋カープ球団が先月から地元説明会で規制内容を伝えている。愛宕踏切の1日の平均通行量は約3000台。周辺数カ所に誘導員を配置し、車両の乗り入れを禁止するという。告知看板や誘導員の数について市とカープ、県警が協議している。
周辺住民の受け止めはさまざまだ。西蟹屋3丁目町内会の石津哲次会長(79)は「カープファンの安全のため仕方ない」と容認する。一方で、東愛宕町内会の小尻晋也会長(51)は「生活道路なのに不便。迂回(うかい)するにも時間がかかりすぎる」と地域の不満を代弁する。
市道路課は「試合の前後に車と人が交錯するのは危険。地元には不便をおかけするが理解を得られるよう努力したい」と説明している。(東海右佐衛門直柄)
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