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スタンドを真っ赤に染めた観客のポスターにボードを掲げて応える赤ヘルナイン(撮影・室井靖司)
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「新球場元年」の幕が下りた。広島市南区のマツダスタジアム(新広島市民球場)は10日、広島東洋カープの今季最終戦で最初のプロ野球シーズンを終えた。4月からの67試合で新球場を訪れたファンは178万4127人。満員の観客はそろいのポスターでスタンドを真っ赤に染めて、元年を締めくくった。
最終戦は、緒方孝市外野手の引退試合でもあった。西区のアルバイト日野硬一さん(28)は「けがを乗り越えてきた不死鳥のような人。『ありがとう』と送り出したい」と目を潤ませながら応援した。
試合は、カープが1―0と完封勝利。終了後、満員の観客はスタンドから緒方への惜別の気持ちをこめて「私たちは忘れない」と書かれた真っ赤なポスターを掲げた。赤ヘルナインもグラウンドから「私たちも忘れない」と記したメッセージボードで応じた。
この日も新球場は満員。家族連れやカップルがさまざまな観戦スタイルでカープの試合を楽しんだ。
「昨年は球場で観戦しなかったけど、今季は6回目です」。福山市の会社員上西俊輝さん(27)は同僚たち約20人でパーティーフロアに陣取った。これまでにも、選手のプレーを間近に見ることができる「砂かぶり席」などで観戦した。
東区の今井美津子さん(68)は夫の竜一さん(69)、孫の中学2年福島由依さん(13)、小学4年栗末彩美さん(10)と内野2階のテーブルを囲んだ。「家族のだんらんに格好の場所ですね」と満足そう。
昨年までテレビ観戦だったという新形和子さん(74)=安佐南区=は車いすで初めて来場した。「車いす席が増えたから来ることができた」と喜んだ。
「球場の素晴らしさと、大歓声を受ける幸せを感じたシーズンだった」。市民、ファンの支えに、カープの倉義和選手会長は感謝の言葉を述べた。(武内宏介、山本修)
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