中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索
中国新聞トップ > みんなのカープ > 広島市民球場
カープに関する意見や提案をお寄せください。carp@chugoku-np.co.jp

都心の未来 熱い思い
WEB de アンケート「旧広島市民球場跡地利用計画」

2009.5.16

Photo
旧広島市民球場跡地。都心活性化に向け市民の期待は大きい
Photo
≪広島市の跡地利用計画≫ 球場緑地を中心とする5.5ヘクタールを活用。西側を「緑地」、東側を「にぎわい」ゾーンに位置付ける。約8割は「市民広場」などと名付けた緑地公園を整備する。折り鶴展示施設は跡地の中央に計画。戦後復興の象徴である球場スタンドの一部を残す。広島商工会議所は跡地西側の現商議所ビルを、東側に移転する。将来的には劇場や文化発信施設を設ける構想も描く。当面の事業費は33億6000万円。広場は2012年度の利用開始を予定。新商議所ビルは球場解体後の11年度中に着工、12年度中の完成を目指す。現商議所ビルは13年度以降に解体する。また、市は計画策定にあたり、現状では都市公園法の枠内の利用に限られる点を踏まえた。
≪折り鶴展示施設≫ 名称は「折り鶴ホール」。世界中から被爆地に寄せられる折り鶴1年分(約10トン)を展示する。NPO法人が整備、運営し、約1億6000万円と見込む整備費は賛同する市民からの寄付を充てる。周囲に巡らす「緑の回廊」では平和に貢献した人々を紹介する。平和への願いの象徴として提案されたが市議会や地元商店街から批判が強い。市は現在、中央部から、集客イベントの支障にならない場所への位置の変更を検討している。

 旧広島市民球場(広島市中区)の跡地利用について、中国新聞のホームページ(HP)で意見を募っている「WEB de アンケート」。4月25日から5月13日までに集まった回答は、994件に上る。広島東洋カープの本拠地として被爆地復興の象徴だった都心の一角を、新たなまちづくりにどう生かすのか。これまでに寄せられた「熱い思い」をピックアップして紹介する。(長田浩昌)

■市計画への評価 -「折り鶴」不要派が多数

 市は、一月下旬に旧球場の跡地利用計画を決定。今秋の解体スタートを想定し、関連費用を盛り込んだ2009年度の予算案を2月開会の市議会定例会に提出した。しかし、集客力への疑問や折り鶴展示施設への批判が強く、推進に必要な一部の費用が議会から認められなかった。議会が、計画推進に待ったをかけた形だ。

 WEBアンケートでは市の計画について「見直しが必要」との声が最も多かった。「改善の余地あり」も目立ち、「よいと思う」は少数派だ。

 最大の焦点である折り鶴展示施設は「必要性を感じない」との声が多数を占めた。「市民の賛否を聞くべきだ」が次いで多く、肯定的な回答は少ない。

■希望する利用策 -サッカー場 期待根強く

 跡地の利用策について、WEBアンケートでは「サッカーを中心にしたスポーツ施設」を求める意見が1位となっている。

 広島県サッカー協会も、サッカー専用のスタジアム建設を市に要望している。市は「必要ないわけではないが、他の適地で実現したい」と否定的な見解を示すが、市民団体が専用スタジアムの建設を求める署名活動を続けており、「サンフレッチェ広島の新たな拠点に」とのファンの根強い期待を反映した格好である。

 2位は「可能な限り旧球場を活用したイベント施設」、3位は「民間の商業・レジャー施設を誘致」だった。市の計画のコンセプトと一致する「誰もが憩える広場」は4位にとどまり、「野球を中心にしたスポーツ施設」は5位となっている。

■それぞれの提言 -平和発信 理念に賛意も

 WEBアンケートで自由意見を求めたところ、さまざまな角度の指摘や具体的な提案が相次いでいる。

 「会社帰りにサンフレの試合に気軽に立ち寄れる。観客が増え、折り鶴施設より経済効果も高い」。サッカー場を支持する20代の学生女性は強調した。サンフレの試合会場である広島ビッグアーチ(安佐南区)が、市中心部から離れている点を理由にした同様の意見は少なくない。

 30代の会社員男性は「あの場所でカープの試合が見られたからこそ平和を考える機会になった。サンフレに引き継げばいい」。40代の会社員男性も「8月6日に世界の強豪チームを招き親善試合をすれば、世界に平和の尊さをアピールできる」と訴えた。

 市と議会の対立の一因となっている折り鶴展示施設の是非には、サッカー場支持派も言及した。「既にある施設で十分」「年に1度か2度、天に届けるための燃やすセレモニーを」などの否定的な意見がある一方で、サッカー場に併設する案も示された。

 緑地や広場を基本にした市の計画を大筋で支持する人たちも、自身の考え方を具体的に記している。

 50代の男性は、旧球場周辺について「今でも潜在的な魅力がある。本当に大規模な集客施設が必要か」と指摘。30代パートの女性は折り鶴施設について「原爆被害を風化させないためにも意義がある」としたうえで、少子化対策の観点から「屋内アスレチック施設」の整備を掲げた。

 40代会社員の男性は「公園にして市民が憩える場にすることには賛成だが、折り鶴展示は不要」との立場だ。一方で、サッカー場の建設は、ビッグアーチの存在を念頭に「税金を投じて新たに造るのは疑問」と主張した。  このほか、60代ガイドの男性は「多くの観光客が原爆ドームの以前の姿を知りたがっている」と訴え、ドームの前身である産業奨励館の再現を望んだ。