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旧広島市民球場跡地。都心活性化に向け市民の期待は大きい
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≪広島市の跡地利用計画≫ 球場緑地を中心とする5.5ヘクタールを活用。西側を「緑地」、東側を「にぎわい」ゾーンに位置付ける。約8割は「市民広場」などと名付けた緑地公園を整備する。折り鶴展示施設は跡地の中央に計画。戦後復興の象徴である球場スタンドの一部を残す。広島商工会議所は跡地西側の現商議所ビルを、東側に移転する。将来的には劇場や文化発信施設を設ける構想も描く。当面の事業費は33億6000万円。広場は2012年度の利用開始を予定。新商議所ビルは球場解体後の11年度中に着工、12年度中の完成を目指す。現商議所ビルは13年度以降に解体する。また、市は計画策定にあたり、現状では都市公園法の枠内の利用に限られる点を踏まえた。
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≪折り鶴展示施設≫ 名称は「折り鶴ホール」。世界中から被爆地に寄せられる折り鶴1年分(約10トン)を展示する。NPO法人が整備、運営し、約1億6000万円と見込む整備費は賛同する市民からの寄付を充てる。周囲に巡らす「緑の回廊」では平和に貢献した人々を紹介する。平和への願いの象徴として提案されたが市議会や地元商店街から批判が強い。市は現在、中央部から、集客イベントの支障にならない場所への位置の変更を検討している。
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旧広島市民球場(広島市中区)の跡地利用に関する中国新聞ホームページの「WEB de アンケート」が終了した。約1カ月間に寄せられた回答は1209件。5月15日付朝刊に掲載した中間集計の後に集まった215件を中心に主な声を紹介する。(長田浩昌)
■サッカー場 根強い支持 ■解体には慎重論相次ぐ ■「折り鶴」に賛成意見も
アンケートは4月25日~5月25日に実施した。市の計画について「見直しが必要」とする声が多数を占める傾向は、中間集計前後で変わらなかった。設置の是非が焦点となっている折り鶴展示施設も「必要性を感じない」が最も多かった。
熱い思いを回答に集中させたのは、サンフレッチェ広島ファンを中心とする「サッカー専用のスタジアム建設」の支持派だった。
40歳代の会社員男性は、旧球場解体に反対したうえで「広島に全国初の球場改造サッカー場を実現してほしい。話題性もある」と強調した。20歳代の会社員女性も「コストを抑えて改修し、新たな目的で再利用するのは画期的」と旧球場の活用に賛同し、「広島ほどの都市規模だから野球もサッカーも都心にスタジアムがあるべきだ」と訴えた。
サンフレの試合会場である広島ビッグアーチ(安佐南区)を念頭に新たな施設の整備を疑問視する声も寄せられた。一方で、30歳代の公務員男性は「二ついらないというのは間違い。ビッグアーチはあくまで総合グラウンド。アクセスは悪く、これ以上集客は見込めない」と反論した。
市が今秋スタートを想定する旧球場の解体には、サッカー場建設の支持派以外からも慎重論が相次いだ。
50歳代の会社員男性は「市民の意見などを十分論議し、納得できるものに」と要望した。8月に有名アーティストが出演するコンサートが旧球場で開催されることを挙げ「屋外のコンサートなどをどんどん誘致すればいい。草野球の聖地にして利用を増やしてもよい」と提案した。
一方、緑地を中心に活用し、「折り鶴ホール」を設ける市の計画を支持する声もあった。
50歳代の男性は「緑の空間、憩いの広場として他の都市に数少ない広い公園にしてほしい」と希望。
50歳代の女性は、チェルノブイリ原発事故の被災地から子供のコンサートを受け入れた自身の経験を紹介し「彼らは一生懸命に千羽鶴を折っていた。その思いを大事にする折り鶴ホールの案を聞いてうれしく感じた」と実現を望んだ。
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