広島市は15日、旧広島市民球場(中区)跡地利用計画の具体化を検討する費用を盛り込んだ一般会計補正予算案など、25日開会の市議会定例会に提案する65議案を発表した。補正予算案の総額は49億4900万円になる。
跡地利用計画については、「計画具体化の検討費用」の1930万円が、3月の市議会定例会で本年度当初予算案から削除された。今回、市は同額を再提案する。10月末予定だった旧球場の閉鎖を、来年3月末まで延期するための管理運営費760万円も計上した。
当初予算案を審議した定例会では、広場や折り鶴展示施設を中心にした跡地利用計画に対し「合意形成が不十分」「集客効果に乏しい」などの異論が相次いだ。この日、記者会見した秋葉忠利市長は市議会の対応について「常識に沿った形で可決されることを期待する」と述べた。
旧球場跡地をめぐっては、広島商工会議所が、計画の柱である広場を主会場に想定し、2013年の全国菓子大博覧会の誘致を目指している。秋葉市長は、利用計画の推進を求める要望書を会議所側から受け取ったことを挙げ、「菓子博は多くの人に来てもらえる。誘致に間に合うよう整備を進める必要がある」と説明した。
このほか補正予算案には、待機児童解消などのため民間保育園の整備補助14億5600万円、JR広島駅北口の若草町地区の市街地再開発事業の補助13億5000万円を計上。公園施設の安全調査事業3000万円など、緊急雇用創出10事業の費用も入れている。(滝川裕樹)
旧広島市民球場の跡地利用計画 広島市が1月に策定。約5・5ヘクタールのうち8割は緑地や広場を整備。戦後復興の象徴として球場スタンドの一部を残す。跡地そばの広島商工会議所ビルの移転新築も盛り込む。折り鶴展示施設(折り鶴ホール)は、設計者の池原義郎氏を中心につくるNPO法人が整備・運営する。将来的には劇場や文化発信施設を設ける構想も。当面の事業費は33億6000万円。広場部分は2012年度の利用開始を予定。
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