広島市議会定例会は2日、一般質問を終えた。市が再提案した旧広島市民球場(中区)跡地利用計画の具体化検討費をめぐっては、3日間で議員5人が取り上げた。市は経済界の推進要望などを前面に出して理解を求めるが、賛否は割れている。
森本真治氏(市民連合・安佐北)は、事業推進を求めたうえで「整備後には記念イベントとして跡地を発着点とするマラソン大会を開催しては」と提案。豊島岩白氏(未来ク・西)も「早期に跡地整備のイメージを具体化させるべきだ」と強調した。
しかし、緑地広場を整備し、折り鶴展示施設(折り鶴ホール)などを設ける市の跡地利用計画には依然、異論が根強い。
碓井法明氏(自民新政ク・東)が「否決議案の再提案は議会軽視。当時とどう変わったのか」と批判。永田雅紀氏(爽志会・中)も「反対が多い折り鶴ホールをつくる理由は」とただし、母谷龍典氏(薫風会・佐伯)は「市民に賛同を得られない」と主張した。
市側は、地元経済界の計画推進の要請に加え、国が7月に跡地を含む都心部を「低炭素型都市」のモデル地区に選んだと説明し、予算化に理解を求めた。
一般質問での審議では、3月の定例会で具体化検討費の予算からの削除に賛成した公明がこの問題に触れなかった。各会派がどう対応するのか、14日の建設委員会に論戦の舞台を移す。(滝川裕樹)
旧広島市民球場の跡地利用計画 約5・5ヘクタールの8割は緑地や広場を整備。復興の象徴として球場スタンドの一部を残す。広島商工会議所ビルの移転新築も盛り込む。折り鶴展示施設(折り鶴ホール)は世界中から被爆地に寄せられる折り鶴を展示。NPO法人が整備運営する。将来は劇場や文化発信施設を設ける構想も。当面の事業費は33億6千万円。広場は2012年度の利用開始予定。
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