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(上)招待企画にこっそり応募した長女の長沼さん(左)とカープの思い出話に花を咲かせる水金さん夫妻 (下)マツダスタジアムに通うのが楽しみと、老後の夢を膨らます中原さん夫妻
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球団創設60周年を迎えた広島東洋カープを草創期から愛し続ける夫婦2組が15日、広島市南区のマツダスタジアムである日本ハム戦に招かれる。スポンサード・ゲームとして協賛する中国新聞社が、スイートルーム観戦をプレゼントする。
西区の水金一三(いちぞう)さん(88)鈴子さん(85)夫妻は1946年5月5日、「コイの季節」に結婚した。野球少年だった一三さんの影響で、二人の生活はカープ一色に染まった。
カキ養殖業を営む傍ら、子ども3人を連れて旧広島市民球場(中区)へ通い詰めた。「ダッコちゃん人形を買ってやると、幼い娘を連れ出したもんよ」。一三さんはそう懐かしむ。75年のリーグ初優勝では、「現実か」と家族全員で涙したのが忘れられない。
その年の秋、一三さんは心筋梗塞(こうそく)で倒れた。幸い命をつなぎとめた一三さんが「初優勝で興奮しすぎた」と語った思い出は、今も語りぐさだ。今回の観戦は、長女の長沼和子さん(62)=西区=が、夫妻には内緒で応募した。
佐伯区の中原治馬(はるま)さん(89)トシコさん(85)夫妻は48年にゴールイン。農業と雑貨店を営んでいた現役時代、ラジオやテレビでの応援がもっぱらだった。田んぼの片隅で、店先で、夕食の食卓で…。治馬さんの傍らではいつも、野球中継が響いていた。
球場での観戦は「老後の夢」だった。が、15年前、治馬さんが脳出血で倒れ、自由に歩けなくなった。あきらめかけた夢は、車いすでも観戦しやすいマツダスタジアムができて再燃。昨年夏に家族と一緒にかなえた。「夫のうれしそうな顔を何度でも見たい」とトシコさん。「老後はまだこれから」と、球場通いに意欲をみせる。
中国新聞社は50年までに結婚した、カープファンの夫妻を募った。両夫妻は当日、グラウンドで両チームの選手代表に花束を贈呈した後、観戦する。 (松本大典)
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