広島市議会の建設委員会は18日、市の旧市民球場(中区)跡地利用計画に基づく旧球場廃止条例案を賛成多数で可決した。定例会最終日22日の本会議でも可決される見通しで、混迷を続けた旧球場跡地の再開発がようやく動きだす。
委員長を除く8人で採決した。賛成は、市民連合2人、公明党、市民市政クラブ、共産党の各1人の計5人。反対は、自民新政クラブの2人と政和クラブ1人の計3人だった。
採決に先立つ討論などでは、賛成の委員が「早く球場を解体してにぎわい創出につなげるべきだ」と主張。反対の委員は「市民合意ができていないのに強引だ」と批判した。
3月の定例会で廃止条例案に反対した公明党と共産党が市側に歩み寄ったことで、廃止条例案に賛成する議員は定数55の過半数を大きく上回る公算が大きい。本会議での可決も確実な情勢だ。
条例案は旧市民球場の閉鎖日を8月1日とする。市は条例成立後、年内にも解体に着手。2013年春までの完成を目指し、緑地広場を中心とする跡地利用計画に基づき整備を進めていく。
戦後復興の象徴の一つだった旧市民球場は、昨年3月にマツダスタジアム(南区)が完成するまで広島東洋カープの本拠地として半世紀以上、市民に親しまれてきた。
昨年度はアマチュア野球やイベントの利用に開放した。市は今年3月の定例会に廃止条例案を提案したが、市議会は否決。一方、球場の解体費や回遊性向上など具体化検討費は可決し、「ねじれた状態」となっていた。(滝川裕樹、野田華奈子)
旧広島市民球場の跡地利用計画
市が2009年1月に策定。約5・5ヘクタールのうち8割を緑地広場にする。折り鶴をモチーフにしたイベント施設「折り鶴ホール」(仮称)は当初の構想を修正し、折り鶴の展示はしない。飲食施設も設け、将来は劇場の建設も想定。外野スタンドの一部は残す。民間が整備主体となる部分もある。当面の市整備分の事業費は約34億1千万円。商工会議所ビルは広場東側に移転・新築される。広場は13年春までの完成が目標。13年広島開催が決まった全国菓子大博覧会の会場に予定される。
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