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旧市民球場、年内にも解体着手
広島市議会が条例修正案可決

2010.6.23

 広島市議会(定数55)は22日、本会議を開き、旧市民球場(中区)廃止条例案の廃止日付を8月1日から1カ月延長する修正案を賛成多数で可決した。市は2013年春までの緑広場を中心にした跡地整備の完成を目指し、年内にも解体に着手する方針。1957年に完成し、半世紀余り広島東洋カープの本拠地として市民に親しまれてきた戦後復興のシンボルが姿を消す。

 市は、3月の市議会定例会に旧球場の廃止条例案を提案。秋葉忠利市長の政治姿勢に批判的な会派などが「市民合意が不十分」として否決する一方、球場の解体費を含む当初予算は認め「ねじれた状態」になっていた。また、球場解体を前提にした市の跡地利用計画への反対運動も起き、事態は混迷してきた。

 修正案は、市の跡地利用計画に反対してきた自民新政クラブが提出した。谷口修幹事長は「夏休み期間中、子どもたちに利用してもらいたい」と理由を説明した。反対討論した政和クラブの山田春男幹事長は「市民合意がないまま球場を廃止する条例案には納得できない」と批判した。

 採決では、自民新政クラブ、市民連合、公明党、市民市政クラブ、共産党、爽志会、薫風会の計40人が賛成した。新保守クラブの3人は退席した。

 市の跡地利用計画では、緑地広場を中心にイベント施設「折り鶴ホール」(仮称)や、飲食物販施設などを配置する。官民が整備主体となり、当面の市整備分の事業費は34億1千万円。13年広島開催が決まった全国菓子大博覧会の会場に予定されている。

 また、跡地には、広島商工会議所ビルも跡地東側に移転新築される。移転先の国有地は市がいったん取得し、建設主体の商議所に売却する。

 修正案の可決を受け、市は球場の備品をオークションなどで売り払う準備に入る。秋葉市長は「廃止に理解いただけたが、施行期日の延期は残念」とのコメントを出した。(野田華奈子)

 ▽廃止日9月1日に延長 反対から一転、自民新政クが提案 

 旧広島市民球場の廃止条例案をめぐり、球場解体に終始反対してきた市議会の自民新政クラブが、一転して解体を認める修正案を出した。そこには、3月の定例会で廃止条例案に反対した公明党と共産党が市に歩み寄り、「廃止は覆せない」(谷口修幹事長)との事情があった。

 同じく市を批判してきた政和クラブは「これまで言ってきたことと矛盾する」と修正に異を唱えた。一方、市原案の廃止条例案に賛成を表明していた市民連合や市民市政クラブが「反市長派がメンツを優先した修正だが、跡地の整備日程には大きく影響しない」と判断。各会派の賛否の状況を踏まえ、確実に「廃止」を実現できる修正案の支持に回り、可決となった格好だ。

 球場の解体に反対する団体「旧広島市民球場フォーラム」メンバーの土屋時子さん(62)は「自民新政クは、解体反対だと思っていたのに理解できない。市議会の常識を疑う」と話していた。(野田華奈子、桑田勇樹)