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惜別・新たな一歩 思い交錯
旧球場廃止条例案可決

2010.6.23

 ▽商店街・経済界・野球関係者「心の中に残る」「にぎわう場所に」

 広島市議会が旧市民球場(中区)廃止条例案を可決した22日、地元商店街や経済界、野球関係者には、さまざまな思いが交錯した。戦後復興のシンボルとして歩んできた球場への惜別の言葉が相次ぎ、新たなにぎわい創出への「第一歩」との受け止めも広がった。

年内にも解体が始まる旧市民球場。広島商工会議所ビル(手前左)が跡地の一角に移転・新築される
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 75年の広島東洋カープの初優勝など「市民球団」の歴史を刻んだ球場。野村謙二郎監督は「市民球場という場所はなくなるが、心の中にはいつまでも残る」と受け止める。高校球児の「あこがれの地」でもあり続けた。完成は1957年。県高野連の阿蘇品太浄理事長は「老朽化で解体は仕方がない。今夏の広島大会では、選手たちに記憶に残る試合をしてほしい」と願う。

 一方、カープの本拠地が昨年春にマツダスタジアム(南区)に移ってからは、一帯のにぎわいは失われたという。市中央部商店街振興組合連合会の望月利昭理事長は「廃止条例案が可決されほっとした。多くの人たちでにぎわう場所に育てるため、商店街も努力したい」と意気込む。

 広島商工会議所の大田哲哉会頭は「跡地を活用した新たなにぎわいづくりのスタートラインに立った」とのコメントを出した。

 緑広場を中心にイベント施設や飲食物販のパビリオンを配置する跡地利用計画は、官民が整備主体となる。「年150万人の集客目標」を実現できるかが問われてくる。

 イベント施設「折り鶴ホール」(仮称)の整備主体となる池原義郎・建築設計事務所(東京都)の山口英城設計チーフは「市民に親しまれる施設を目指したい」と語る。

 跡地のにぎわい創出策について、市が設置した官民の研究会は4月末、イベントを誘致する運営組織の必要性も提言した。メンバーを務めた松波計画事務所の松波龍一所長は「『復興の希望』としての跡地を含む中央公園一帯を生かす長期ビジョンを持つべきだ。広島らしい情報発信の場になる」と唱えている。