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計 |
西武 |
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1 |
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0 |
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0 |
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広島 |
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0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
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2 |
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延長14回、時間切れ引き分け(観衆26、037人) |
(西)東尾、渡辺、松沼雅―伊東 (広)北別府、清川、川端、津田―達川 ▽本塁打 小早川1号、山本浩1号 |
プロ18年 集大成の同点弾
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同点弾を放った山本選手(左から2人目)を出迎える赤ヘルナイン
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「ミスター赤ヘル」の名で愛され、黄金時代の一翼を担った山本浩二さん。自らが「プロ18年間の集大成」と呼ぶ一打は、西武との日本シリーズ第一戦で放った現役最後の一発。舞台は、満員の市民球場だった。
0―2で迎えた九回一死。小早川毅彦選手の本塁打で1点差となった瞬間から、ドラマチックな物語は始まる。東尾修投手の元へ向かう森祇晶監督。山本選手はじっとその光景を見つめていた。「渡辺(久信)が出てくると厄介。代わるな、と祈っていた」
東尾続投が決まり、山本選手は一つの決断をする。「外のスライダーだけ待つ」。それまでの打席はスライダーで打ち取られていた。「必ず同じ球で勝負してくる」。土壇場で、18年間で培った「よみ」を信じた。
一球目。真ん中のスライダーを見送った。失投だったが、外角にストライクゾーンを合わせていた山本選手には、真ん中は内角。手が出なかった。「あの一球で、バッテリーはシュート狙いと勘違いしたのではないか」
二球目は内角のシュート。ボール球で探りを入れてきた。「予想通り」。確信は深まった。風は右から左。「右翼へ打つなら逆風。相当踏み込まなければ、打球は伸びない」。一発がほしい場面。完全に頭からシュートを捨てた。三球目。外のスライダー。自然と体が反応した。
「入るとは思わなかったが」。放物線を描いた打球は、思いのほか伸びた。起死回生の同点弾に場内は騒然。「ひざは開き気味だったが、しっかり踏み込めていたのだろう」。万感の思いでダイヤモンドを駆け抜けた。
一振りで決めた集中力。スライダーを狙ったよみ。シュートの恐怖心を捨て切った勇気。この勝負には、ミスター赤ヘルのすべてがあった。「引退を決めていたが、戦う『気持ち』があった。だから打てたと思う」。それは、市民球場への惜別の一振りでもあった。(小西晶)
「さよなら市民球場」は今回で終わります。
(2008.12.28)
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