連載中、読者の皆さんから多かった質問の一つが「イノシシの写真、あれはどうやって撮ったんですか?」。待ち伏せて撮ったと想像した方もいる。実は大半が、夜間にフラッシュを使った自動撮影だ。野生動物を長年撮り続け、蓄えてきた本紙のノウハウをちょっぴり紹介しよう。 |
![]() 特 集 (03.6.3) | ||||||||||||||||||
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感知器仕掛け自動化 成功5割、まずまず
今回の撮影機材は、自動巻き上げ機能のある一眼レフカメラにフラッシュ、三脚、イノシシの接近を見張り、感知するセンサー、雨よけの傘やポリ袋が主なものだ。 肝心なのはセンサー。防犯用などで市販品もある赤外線式や熱感知式、接触式などのセンサーから適当なものを選ぶ。撮影カメラの専用端子とつなげば、センサーが送った電気信号でシャッターが切れる。 もともと憶病なイノシシは、普段は歩き慣れた安全な道を使う。ヌタ場(泥風呂)や足跡などから、撮影向きのポイントに目星をつけた。三脚を使い、撮影角度を調整する。フラッシュの位置はカメラとセンサーとの距離、出没時間帯、背景の明るさを考えて決めた。角度の違う複数のフラッシュを使えば、写真に立体感が出せる。 野外撮影では、雨対策が欠かせない。レンズ以外の部分をポリ袋で丁寧に覆う。広島県・倉橋島での撮影時は、カメラがフクロウの止まり木になり、袋が破けて水浸しになった。 仕掛け終われば、思い通りにフラッシュが光るかどうか、シャッターが下りるか、現場で必ずテストをする。 「猪変」取材では、二〇〇二年三月から広島、島根、山口の計三十五カ所で自動撮影を仕掛けた。十六カ所で狙い通り、イノシシをとらえた。「五割打者」だった。 シャッターは落ち、空振りではなかったものの、お目当てのイノシシ以外の野生動物、「お客さん」が写ったケースも多くある。 ほ乳類では、野良犬、猫、シカ、テン、イタチ、タヌキ、キツネ、ノウサギ、そして人。カラス、キジ、フクロウ、キジバト、ヒヨドリ、ルリビタキなどの野鳥も画面に入っていた。 (山本誉)
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