2001/8/19 血液検査にしろ、さまざまな検査の結果は、早く、分かりやすく説明を聞きたい。だれだって、自分の身体はいま一体どうなっているのか、これからどう変化するのかに関心を持っているのだ。 しかし、果たして医療者の方は、目の前にいる患者や家族が理解しているかどうかを確認しながら、説明しているだろうか。 私は前の病院での経過もあって、非常に用心深くなっていた。抗がん剤を注射する前には、必ず血液検査がある。その結果を医師が確認しているか、点滴ボトルに自分の名前が書かれているか、薬の名前、量の確認までした。分からないことは尋ねたし、知りたいと思ったら電話もした。 大腸検査の時だ。下剤のにおいや味が気持ち悪く、飲みにくくて苦労したので、何か工夫はないか看護婦さんに相談した。薬剤部でもらってきてくれた効能書きには、「甘味料など使用してはいけない」とある。「ガスを発生させ、検査でレーザーなど使用すると爆発するおそれがある」などが記されていた。 なるほどと思いながら、それでも私は伝えたいことがあった。この製品を作っている東京の製薬会社に電話してみた。 「すごく飲みにくいんです。もっと、口当たりのよい下剤は、開発できないもんでしょうか」 「失礼ですが、お宅さまは?」 「病院にいま入院中のがん患者なんですけど…」 「えっ」 開発担当者は、患者の生の声を聞くことはあまりないのだろう、しばらく絶句した。においを何とかしたらどうかと、私は提案した。特にがん患者は、においには敏感だからだ。 開発担当者は、二年後には新製品を出す予定だと説明し、最後に「本当に貴重なご意見をお伺いできまして、まことにありがとうございます。今後の開発にぜひ役立てたいと思います」と結んだ。 大腸検査の結果は、異常なかったが、手術前日は、また下剤を飲まなくてはならない。二年後にどんな製品となるのか楽しみだと、他の患者さんに話した。 「あー、そういうふうに何でも直接、伝えることで、相手がどうしたらいいのかが初めて、具体的に分かるんだよね」 「そうそう、自分のことだもの。お任せではいけないと思うのよ」 |