エッセーの収益一部たる募金に

05.08.24


■広島の堀さん 全国のスタジアムぶらり見聞録

  広島市安佐北区のフリーライター堀治喜さん(52)が、九年前から全国の野球場を巡って書きためたエッセー集の出版を始めた。タイトルは「球場巡礼」。ライフワークとしてシリーズの出版を続け、売り上げの一部を新球場のためのたる募金に贈る。
 第一集は福岡市の雁の巣、福岡ドーム、平和台編。雁の巣では炎天下でウエスタンの試合を満喫し、満員で閉め出された福岡ドームでは、歓声も漏れてこない隔絶された空間を嘆く。解体前の平和台で往時の西鉄ライオンズに思いをはせる。
 堀さんは草野球チームの仲間たちと一九九三年から三年がかりで広島県高宮町(現安芸高田市)の休耕田に「ドリーム・フィールド」を造った。国内の球場が「青空」から「ドーム」に移る潮目。球場そのものに興味を持ち、「巡礼」を始めた。
 青春18きっぷで行き、野球の試合を見る。外側を一周する、生ビールを飲む―が約束事。オープン戦のはしごなどで、これまでに五十以上の球場を訪ねた。
 好きな球場は、日ごとに表情が違う函館、スタッフの雰囲気がいいフルキャストスタジアム宮城…。ワーストは大阪ドーム。広島市民球場は、施設は褒められないけれど、一番愛着があって評価できないという。その市民球場を随所に織り込みながら筆を進める。
 「ドーム化と人工芝が野球の魅力を失わせた。球場に思いのあるおっさんが、勢いでつくってしまった本です」と堀さん。文工舎文庫、六十四ページ、七百十四円。Tel082(842)9462。



【写真説明】各地の球場を訪ねる「巡礼」エッセーの刊行を始めた堀さん


 

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