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ヒロシマは問う
<3> 広島修道大法学部 王偉彬教授(49)=広島市安佐南区 '06/10/14

 ▽北東アジア安全保障を

 ―北東アジアを混乱に陥れた北朝鮮の核実験実施公表の狙いはどこにあるのでしょうか。

 国内と国際的な両面から考えての決断だろう。経済の悪化による軍人らの不満を抑えて権力基盤を引き締め、直接交渉を求める米国をはじめ日本と韓国に自分たちの力を見せつけ、立場を強めたいとの考えからだ。

 ―朝鮮戦争以来の同盟関係にある中国の自制要請まで振り切ったのは。

 中国が米日韓と接近するたび、金正日(キムジョンイル)総書記は不満を募らせ、最近は「中国を信用できない」と公言している。(朝鮮戦争の支援を受けた)毛沢東時代とは違うことを分かっている。自分たちを守るためには核兵器が要ると思い、技術的な問題が解決できたから実施したといえる。

 中国の政策変化

 ―国連安全保障理事会の制裁決議案で中国が鍵を握っています。

 北朝鮮による今年七月の弾道ミサイル発射実験から中国の対北政策は変わってきている。直後に副首相らを派遣したが、金総書記は会わなかった。北朝鮮が無謀なことをすると、中米関係に悪影響を及ぼす。核実験の直後に北朝鮮を非難したのは政策転換のはっきりとした表れ。ミサイル発射とは質が違う。北東アジアの危険性を高め、日本や韓国、台湾も核兵器保有に向かう恐れがある。

 中国は、制裁は北朝鮮の国民をむしろ団結させることを知っているが、今回は決議案を容認というか黙認するだろう。北朝鮮への約七割を占める物資援助の見直しもあるだろう。ただ、難民が大量に出るなど自国の安全を侵さないレベルにおいてだ。当面は影響力を行使しつつ状況を静観すると考える。

 敵対心除く必要

 ―ヒロシマの訴えでもある核兵器放棄を北朝鮮に促していくには。

 困難な道であっても、北東アジアの安全保障の構築だ。集団的な安全保障を話し合う中で互いの敵対心を薄め、朝鮮半島の非核化を図る。米国が北朝鮮を攻撃しないと約束するのも重要。中国は一九七二年のニクソン(当時の米大統領)訪中と日中国交正常化を弾みに改革・開放へと転じた。北朝鮮も安心感を持てれば門戸を開けやすいし、変化の可能性が芽生える。

 ―日中が協力してできることは。

 安倍晋三首相の訪中で日中関係は改善イメージが出ているが、東シナ海のガス田開発や台湾問題など火種を抱える。北朝鮮の核兵器放棄についても、相手を追い込み一方的に優位に立つのではなく、共に利益を手にする関係をこの地域でつくっていくべきだ。(編集委員・西本雅実)

 ワン・ウェイビン 中国山東省出身。1989年、北京大大学院国際政治学科を修了。2000年に京都大で博士号を取得。04年から現職。米ハーバード大客員研究員を3月まで1年間務めた。著書に「中国と日本の外交政策」など。

【写真説明】「中国政府も北朝鮮の閉鎖性に手こずっているが、体制転覆までは望んでいない」とみる王教授


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