中国新聞


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パキスタンで反核・平和運動 フッドボーイ教授インタビュー
2002/02/27
 
≪インタビューを終えて≫

■心に「ヒロシマ」熱く温かく

 明晰(せき)な頭脳と幅広い知識、ヒューマニストとしての温かい 人々へのまなざし…。フッドボーイさんは、普段パキスタン人と接 触する機会の少ない広島市民らに講演を通じて強い印象を残した。

 九六年の印パ取材の際に、大学の彼の研究室を訪ねた。壁には長 さ二メートル余のヒロシマの廃虚を映し出したポスターが掲げられ ている。

 核兵器を開発した科学者が英雄視される国柄である。その中で 「原爆の本当の恐ろしさを知らないために核兵器を肯定してしま う」と、粘り強く学生や市民に「非核の道」を説き続ける。

 被爆国日本の核廃絶へのリーダーシップに大きな期待を寄せる。 それだけにブッシュ米大統領の「悪の枢軸」発言に理解を示す小泉 首相の姿勢に、「世界平和を希求する日本人のモラルが疑われる」 と懸念を示した。

 研究室のポスターが無言で訴えるように、フッドボーイさんの内には、常に「ヒロシマ」が生きている。軍事政権下の厳しい状況の 中で暮らす彼(か)の地の人に、日本人の「被爆体験の風化」を指摘された思いがした。

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