中国新聞
在外被爆者 願いは生みを超えて
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2002/07/02

 政府支援 ◆ 法適用・手当 先送り

 在外被爆者への援護法適用を認めた昨年六月の大阪地裁の判決を 受け、厚生労働省は控訴する一方で、「在外被爆者に関する検討 会」を設置。国内だけに適用が限られている援護法の改正も視野 に、学識者ら七人で援護策の協議に着手した。年内に五回にわたり 話し合い、韓国、米国、ブラジル在住の被爆者の意見も聞いた。

 しかし、検討会の報告を受けて国が十二月に発表した支援策は、 被爆者健康手帳を取るための渡航費の補助や医療機関のあっせんな ど、渡日を前提にした事業ばかり。援護法適用や在外被爆者への手 当の支給は先送りされた。

 この点について、坂口力厚生労働大臣は「あくまで第一段階」と 強調。援護法適用や在外被爆者への手当給付のための基金創設につ いても今後、早急に検討を進めることを明らかにした。

 在外被爆者の間では失望感が広がった。在ブラジル原爆被爆者協 会と米国原爆被爆者協会は、相次いで基金創設を国や広島県に要望 した。高齢化が進む被爆者にとって、三十時間にもおよぶ飛行機で の移動は大きな負担で、渡日できない人が多いという。

 韓国原爆被害者協会は賛否を留保している。というのも、日本政 府が九三年までに拠出した医療基金四十億円が二〇〇四年度内に枯 渇する見通しになり、追加資金を最優先に求めているからだ。今年 五月には協会幹部らの代表団が訪日し、九十億円の拠出を坂口厚労 相らに直接要望した。

 今までのところ、日本政府からは明確な回答が得られていない。 協会は「追加拠出の見通しに答えがない限り、賛否は言えない」と している。

世界各地に5000人 ◆ 現地の状況

 世界各地で暮らす被爆者は現在、約五千人とみられている。移民 や植民地支配など複雑な経緯がそれぞれの在外被爆者の半生を左右 してきた。

 うち、朝鮮半島、北米、南米の九カ国には合わせて約四千四百 人。日本政府が現地の被爆者団体の聞き取りなどで確認した。国交 のない朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を除き、国や広島、長崎 両県市が個別に支援策を実施してきた。

 千人を超える被爆者がいる北米では一九七七年、健康診断がスタ ート。広島県医師会、広島市、国などが医師団を派遣し、初年度は 百六人が受診した。被爆者を日本に治療に招く事業も始まり、隔年 で続いている。

 ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ペルーの南米 五カ国でも同様の援護策が八五年に始まった。広島、長崎両県と国 が隔年で実施している。

 被爆者が約二千人と最も多い韓国では事情が少し異なる。八一 年、日韓政府による渡日治療が始まったが、八六年に韓国側が「自 国で治療できる」として打ち切った。

 一方、韓国政府は基金拠出を日本政府に要請し、九〇年の日韓首 脳会談で海部俊樹首相が人道的支援として拠出を表明。四十億円を 原資に治療費の自己負担分と月額約一万円の現金給付が実現した。

 北朝鮮とは国交がなく、今のところ政府間で合意した支援策はな い。日本政府は昨年三月、初の調査団を派遣した。平壌市に被爆者 の治療拠点、放射線医学研究所があるが、専門医や設備は不十分と される。

 南米、北米、朝鮮半島以外にも、強制連行されて被爆した中国 人、東南アジアから広島に留学中に被爆した南方特別留学生のほ か、海外に移った日本人の被爆者も点在している。詳しい実態は分 かっていない。

 一時入国した後に出国した在外被爆者を集計した厚生労働省のデ ータによると、九六〜二〇〇〇年の五年間でオーストラリア、中 国、ポルトガルなど十八カ国・地域の被爆者が確認されている。外 国人と結婚して海外に移り住んだり、仕事で海外赴任したりしてい る日本国籍の被爆者が多いとみられる。  
日本に短期滞在し、被爆者健康手帳の交付を受けた後に出国した在外被爆者数
(延べ人数、厚生労働省データ、北米、南米、朝鮮半島を除く)
1996 1997 1998 1999 2000
オーストラリア
中国
香港
ポルトガル
台湾  
インドネシア  
フィリピン  
フランス  
ドイツ  
オランダ  
ベルギー    
スウェーデン    
メキシコ      
シンガポール      
マレーシア        
南アフリカ        
英国        
ギリシャ        


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