グラウンド・ゼロ


爆心地復元プロジェクト

   



細工町の暮らしCG化 来年完成

 「ヒロシマ・グラウンド・ゼロ」は、広島県内の映像制作会社や大学研究室などでつくる爆心地復元映像制作委員会が取り組んでいるプロジェクト。三次元のコンピューターグラフィックス(CG)で、原爆の爆心直下にあった細工町の被爆前をよみがえらせる。
 ゆかりの被爆者たちから町の様子を聞き取り、広島大原爆放射線医科学研究所(南区)所有の航空写真を基に、十一月初めには細工町の戸別平面図を作り上げた。今後、三次元画像を順次完成させ、被爆六十周年の来年中に、約一時間の作品に仕上げる。
 家並みや室内の調度品など、質感に至るまで当時を忠実に表現する。さらに、トンボを捕って遊ぶ少年たちの実写映像などを重ね、グラウンド・ゼロ(爆心地)にあった人々のさりげない暮らしを再現。庶民の日常を奪い去る原爆の非人間性を浮かび上がらせる。
 米国から入手した原爆開発実験の記録フィルムを解析し、原爆が爆発し細工町が破壊される瞬間もCGで描き出す。
 映像制作会社を営む田辺雅章さん(66)たちによる爆心地の復元CGは、原爆ドーム(旧広島県産業奨励館)、猿楽町に次いで三作目。「あの日の出来事を忘れたとき、再びあの日が繰り返される」。一連のプロジェクトには、被爆体験を風化させてはならないとの気概もこもる。




【写真説明】CGで再現された爆心地一帯の被爆前の家並み。奥は広島県産業奨励館(被爆後は原爆ドーム)(爆心地復元映像制作委員会提供)=上
「ヒロシマ・グラウンド・ゼロ」プロジェクトで爆心地の細工町や猿楽町を戸別に復元した平面図(爆心地復元映像制作委員会提供)=下



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