中国新聞社
遺骨引き取り低迷 被爆65年、遺族も代替わり '10/7/17

 名前が分かりながら、遺骨の引き取り手がない原爆死没者がなお817人もいる。被爆65年。名乗り出る遺族の数はめっきり減ったが、広島市原爆被害対策部調査課には月平均で1件程度の問い合わせがあるという。名簿の公開は1968年から43回目を迎えた。

 調査課によると、引き取りがない理由は(1)一家が全滅した(2)名簿の名前の一部が違っている(3)遺族が名簿の公開自体を知らない(4)家庭の事情で名乗り出ることができない―などが考えられるという。

 遺骨の引き取りは被爆10年後の55年度から13年で計153件だった。名簿の公開に踏み切った68年度は一気に増えて93件、69年度には最高の150人の遺骨が遺族の元へと帰って行った。しかしその後は下降傾向。85年には名簿の全国発送を始め、86年度には50件に上ったが、その後は0〜8件で推移している。

 ここ数年の減少は遺族が代替わりを始めたことも影響していると考えられる。しかし、昨年は長崎市に住む遺族が偶然、同市役所に掲示してあった名簿を見つけたケースがあったという。調査課の漆原正浩課長(50)は「65年たった今も問い合わせはあり、遺骨をお墓に納めてあげたい遺族の思いは強い。少しでも心当たりがあれば申し出てほしい」と話している。調査課Tel082(504)2191。(増田咲子)



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