▽「必ず消す」願い炎々
静かに揺れる炎。強い日差しの下、熱気が景色をゆがめる。広島市中区の平和記念公園の原爆慰霊碑北側にある「平和の灯(ともしび)」。被爆から65年を迎える今年の夏も燃え続ける。
シューッ。近くに立つと、意外な音に気づく。ガスを吹き上げる音だ。約25メートル先のガス庫から地下の配管を通して、台座まで燃料を送っている。
「核兵器が地上から姿を消す日まで」と、1964年にともされた炎。噴出音は、いまだ目標を果たせない人類への憤りのようにも聞こえる。
市女性団体連絡会議の西田志都枝会長(63)=東区=は「何年かかっても炎を消したい」と願う。「その日までは、ここを一人一人が平和の意味を考える場にしたい」。31日は平和の灯から採火。火を分けたろうそくを約250人が一帯で掲げ、明日への誓いを立てる。(写真・坂田一浩、文・田中美千子)
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【写真説明】絶えることなく燃える「平和の灯」。原爆慰霊碑が炎の向こうに揺れる
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