中国新聞社
被爆前のカフェ写真発見 経営者長男ら市公文書館で確認 '10/8/11

 原爆投下前、現在の広島市中区、平和記念公園内にあったカフェ「ブラジル」の店内の写真が、市公文書館が整理中の写真の中から見つかった。経営者の長男石川永治さん(80)=安佐南区=夫妻が公文書館で確認。原爆が奪ったものの大きさをかみしめた。

 写真家の故松本若次さんが撮影し、遺族が市に預けている約1万点のうちの1枚。宴会風景を写してあり、昭和3(1928)年撮影と裏に書いている。

 ▽現平和公園内にぎわう文化人たち

 「ブラジル」は石川さんの両親が経営し、18年にオープン。3階建てのカフェは、文化人が集まることで有名だった。

 原爆により建物は崩壊。石川さんは学徒動員に出ており無事だったが、51歳の父は近くにあった自宅玄関で、44歳の母は台所で亡くなっていた。写真を手にした石川さんは「原爆は虐殺。あの町に暮らしていた人はみな亡くなった。二度と許されない」とあらためて原爆の非人道性に憤っていた。

 写真は約170点とともに、11日から9月10日まで、同館である企画展「都市の表情―レンズがとらえた昭和初期の広島」で展示される。 (新田葉子)

【写真説明】(上)市公文書館で見つかった「ブラジル」店内の写真(下)懐かしの店内を学芸員(右)とともに眺める石川さん(中)



MenuTopBackNextLast
ページトップへ